アメリカで、また銃による大規模な事件が連続して発生したことで、銃犯罪とビデオゲームの関連性の議論が話題になっています。
今回、この議論にアメリカ任天堂の元社長が参戦しています。
銃犯罪とビデオゲームの関連性
銃による大規模な殺人事件は、アメリカでこれまで何度も発生しています。
そのたびに、銃規制が必要というような議論が出て来ますが、それと同時にビデオゲームが影響しているのではないかというような話が出て来ることもあります。
それは、FPSの戦争ゲームなどで、人を撃つことへの抵抗がなくなるということや、それに影響されて「実践」してみようと思う人が出て来るといったような話です。
これと似たような主張は、アメリカのトランプ大統領も行っているので、最近また大きく話題になっています。
ただ、トランプ大統領がビデオゲームを槍玉の1つにあげているのは事実ですが、アメリカや日本では、これがフェイクニュース的に伝えられていることも多いです。
トランプ大統領は、銃犯罪について、ビデオゲームが最大の原因だというようなことは言っておらず、インターネット上に溢れる過度に暴力的なコンテンツや過度に暴力的なビデオゲームが悪影響を及ぼしているとしています。
よって、様々な「過度に暴力的な表現」が良くないという話の中で、インターネット上のコンテンツと共に「ビデオゲーム」を挙げているだけなので、話の趣旨としては、過度に暴力的な映画やテレビなども含まれていると思っていいようなものであり、「ゲーム脳の恐怖」というフェイク本とも言われるものを書いた人のように、単純なビデオゲームアンチではないということです。
銃規制にも踏み込む
銃犯罪とビデオゲームの関連性の議論では、銃を規制することが難しいので、銃犯罪の責任を他に転嫁しようとしているというような話になることもあります。
例えば、トランプ大統領は、全米ライフル協会から支持を受けているので、肝心の銃規制には触れず、ビデオゲームを悪人に仕立てて話を逸らそうとしているというような論調です。
このような論調は、単純で分かりやすい陰謀論のようなものであり、受け入れられやすい話ではあると思われますが、今回の件に関してはこの論調は間違いです。
トランプ大統領は、今回、人を殺めたいと思うような精神疾患者や過激な思想の人物が銃を手にすることが出来る状態も良くないと主張しています。
このため、過度に暴力的な表現が溢れているから銃による事件が発生するというような単純な主張だけをしているわけではなく、なかなか触れにくい「タブー」的な部分でもあるので、その部分は日本と同じくアメリカの大手マスコミなどでもカットされがちのようですが、銃を持つ者の状態という部分にも踏み込んだ主張もしているということです。
このため、トランプ大統領は、現実的に無理な銃の廃止などという主張は全く行っていませんが、売ってはいけない人に銃を売っている現状への批判は行っているので、銃規制の強化的な発言も行っています。
よって、トランプ大統領は、何もゲームに事件の責任を押し付けているわけではなく、様々な要因の1つに、ゲームも含めた「過度に暴力的な表現」があり、また、銃の販売や所持の仕組みにも不備があるという、支持層から反発を受けそうな、わりと踏み込んだことも言っているということになっています。
Facts are facts. pic.twitter.com/sSEbdYZcgE
— Reggie Fils-Aime (@Reggie) 2019年8月6日
アメリカ任天堂の元社長が参戦
銃による大規模な事件の発生のたびに繰り返されるビデオゲームとの関連性について、アメリカ任天堂の元社長のレジー氏も参戦しています。
レジー氏は、上のような表を提示し、ビデオゲームと銃犯罪との関連性はないということを示唆しています。
この表は、1人当たりのゲーム収益と銃による死亡事件の発生を国別に示したものです。
もし、ビデオゲームと銃犯罪が関係するならば、左右の表は同じような状態にならなければならないはずです。
しかし、実際には、銃による死亡事件は、アメリカだけ突出して多くなっており、ゲームとは何の関連性も見られないということをアメリカ任天堂の元社長は言いたいようです。
ちなみに、「ビデオゲームと銃犯罪の関連性はないと言える」と思われますが、この表が根拠になるかと言えば、それはまた別の問題だとも考えられるかもしれません。
この表は、「1人当たりのゲーム収益」という、よく分からないざっくりとした概念の表なので、日本のようにキャラゲーやRPGなどがよく売れている国と、アメリカのようにFPSの人殺しゲーが大盛況な国とでは、そもそも遊ばれている商品が違うとも言えるので、それらをまとめて収益で比べるのは間違っているからです。
トランプ大統領も、前述のように、ビデオゲームそのものが悪いとは言っておらず、「過度に暴力的な」ビデオゲームがダメだとしているに過ぎないので、「エロに厳しくグロに緩い」とも言われるアメリカのビデオゲームの表現規制を、今後グロ方向でももっと厳しくするというような部分は、ビデオゲームと銃犯罪に関連性はないという前提に立ちつつも、議論の余地はあるかもしれません。
なお、ゲームそのものが悪いとする、アメリカの政治家やコメンテーターなどがいないわけではありません。
ただ、それをトランプ大統領の発言と同時に伝えて混同させようとするような報道も海外で目立つので、実際に言っていないことまでトランプ発言と受け取られている部分もあります。
また、最後にややこしいことを言っておくと、今回の話は、ビデオゲームに責任を押し付けている話だと報じるのは間違いですが、銃そのものではなく、「売ってはいけない人」に責任を押し付けている話だとも言われており、むしろ、今回のトランプ発言の今後の争点はこの部分になるとも言われています。
コメント
ゲームなんかやってたら俺みたいなろくでもない人間になるから(笑)
やらせないほうが正解だろうけどね
Foxニュースの報道はテキサス州で教会や学校に限り銃の所持規制を緩和するらしいよ