任天堂、アメリカ関税の対策はカンボジアなどでのハード生産。ソニーは在庫を増加させる

　任天堂とソニーのゲームハード関連の話題を1つご紹介しておきます。

　話題は、アメリカ関税の対策についてです。

任天堂、カンボジアでも生産

　アメリカのトランプ大統領が、自国の産業の保護などを目的にして、外国から輸入される製品に対して追加で高い関税をかけることを発表しています。

　これにより、コストがアップして販売価格が上がるものもあるとみられているので、「外国の商品」はアメリカ国内で売り上げが減少するのではないかともみられています。

　このアメリカ関税の問題は、ゲーム業界にも関係して来るため、特にアメリカから見て「外国」に当たる国でハードを生産しているハードメーカーが困るとも言われています。

　今回、この問題について、日本メーカーの任天堂とソニーがコメントしています。

　これによると、任天堂はカンボジアやベトナムでもニンテンドースイッチなどのハードを生産することで「様々な地政学リスク」を回避する準備を整えているとしています。

　これは、以前はほぼ中国でしか任天堂ハードは作られていませんでしたが、最近は中国以外でも何割かが作られるようになっているという意味です。

　これにより、アメリカは中国から輸入される製品に他よりもかなり高い追加の関税を課すとしているので、中国製品ではなく、カンボジア製品やベトナム製品としてアメリカに輸出することで、関税の負担を減らすことが出来るということです。

　ただ、それでも以前よりも関税の負担は増えるので、任天堂は業績に「一定の影響が見込まれている」としています。

　一方、まだこの政策は始まったばかりなので、「今期の業績への影響は軽微」だとも任天堂はコメントしています。

　このため、アメリカ関税の問題は、来期に発売されるニンテンドースイッチ2の価格戦略などにも影響するのではないかともみられています。

ソニーは在庫を増加させる

　アメリカが2025年に発表した関税の政策については、ソニーも決算説明会で少しコメントしています。

　これによると、まずソニーは具体的な国名は挙げていないものの、「様々な地政学リスク」に対応するため過去数年間にサプライチェーンの複線化などを行って来たとしています。

　このため、ソニーも任天堂と同じく、リスクが高いと言われる中国などでの生産割合を徐々に減らして来ているようです。

　また、ソニーは、現時点で比較的簡単にできる対策として、アメリカ国内の在庫を増やすという戦略も取っているそうです。

　これは、中国などへ追加の高い関税が発動される前ならば、これまでの関税でアメリカ国内に製品を持って来ることが出来るので、「値上げする前に買っておく」というように、「関税が上がる前にアメリカ国内に持って来ておく」という技を使っているということです。

　よって、いずれ在庫は尽きるのでいつまでも出来る対策ではないものの、ソニーはとりあえずの対策としては有効な方法も使っているようです。

　なお、純粋なアメリカ企業が発売しているマイクロソフトのXboxも、アメリカ国内では基本的に生産していません。

　このため、今回のアメリカの関税政策はアメリカの企業が儲かるようになっているかと言えば、そうではない部分も大きくなっています。

　また、アメリカの消費者にとっても追加の関税分だけ商品が値上げされて不利益を被る可能性があるので、必ずしもアメリカ人にメリットがあるとも言えないものになっています。

　ただ、追加の関税という「脅し」をとりあえず使うことで、中国でスマホなどを製造しまくっているアップルが米国内で別の分野に75兆円もの投資をすることを発表するなど、短期的な国内の痛みは我慢して、長期的な国内のメリットを得ようとするアメリカのトランプ大統領の戦略が成功している部分もあるようです。

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